2006-03-14

Winny自動削除は、本当にウイルス&セキュリティ対策なのか?

 トレンドマイクロにてなかなかに興味深い発表があった。
「管理ネットワーク上にWinnyが存在している場合、有無を言わさず関連ファイルと共に削除を行う管理ソフト発表」
 やろうとしていることは間違っていない。最近のWinnyに対する評価は最悪と言ってもいいだろう。
 しかし・・・セキュリティやウイルス対策、情報漏洩対策としてWinnyの存在を許さない、というだけの考え方は、本当にそれで正しいのだろうか?


 あらかじめ言っておくが、私はWinnyを使ったことがない。
 だが、Winnyというソフトがどのようなものなのかわかっている。
 また、Winny作者に対して、基本的には中立な立場だと言っていい。
 同じプログラム技術者としては、むしろ尊敬に値するほどの技術者とも思っている。
 その上で私から、ここ最近のWinnyに対しての報道を見ていて思うことがある。
「存在を否定しているだけで、実際の問題をわかってはいない」
 Winnyの作者が情報漏洩ほう助や著作権違反ほう助ということで現在公判中であるが、それがそもそも間違っていると思わないか?
 Winnyは、単純にファイルの受け渡しを簡単にするためのソフトであったはずである。
 作者としてもそれを前提に作成したはずである。
 そもそもWinnyはフリーソフトウェアであり、フリーソフトウェアの大前提は、
「利用することによる不都合、問題、各種法的な状況に対して、作者は一切関与しない」
 はずである。
 Winnyを使って著作権違反を行っているのはWinnyを使っているユーザーであり、作者ではない。
 作者に対して「ほう助」ということが割り当たるのであれば、不特定多数に対してファイルを受け渡すことが出来るサーバアプリケーションは、全てこれにあたらないのか?
 FTPサーバソフトとFTPクライアント、またはWEBサーバとブラウザで、実際に著作権法違反なファイルやり取りが行われている。
 ソフトウェアの存在自体がほう助というのであれば、それらでさえ対象となるのではないのか?
 Winnyがそれらから比べた場合利用が楽だからなのか? ただそれだけの理由なのか?
 そもそも、そこまで言ってしまえば、このインターネットの存在自体が”著作権法違反ほう助”ということではないのか?
 インターネットという巨大なネットワーク網が無ければ、このような著作権法違反行為そのものが起こりえないのである。
 それに対して、偉い人たちはほとんど言及してはいない。
 ただWinnyの存在を否定することで、それを成り立たせようとしているところが、個人的には許せないところではある。

 まだまだ言えることがある。
 Winnyによって情報が漏洩したと叫んでいるが、それは逆に、情報が漏洩しそうな場所にWinnyを入れた法人または個人の問題とも言える。
 それは単純に・・・人やPC、データの管理がずさんなだけである。
 そんな状態でデータを管理をしているのであれば、たとえWinnyを入れなかったとしても、遅かれ早かれ情報は漏洩すると思うのは、私だけではないはずだ。
 大事なデータを個人PCにコピーできる環境を作っていること自体が、個人情報管理ずさんといえることなのである。
 そんな基本的なことも出来ていないところに「全てWinnyが悪いんだ」と言う資格は無い。

 また、最近増えている点として、Winnyを介したウイルスソフトの存在がある。
 Winnyが入っているPCに対して、Winnyの脆弱性をついて、Winnyが稼動しているPCに進入、そして活動するウイルスがあるという。
 それさえもWinnyが悪いと叫んでいる者が多い。
 だが、私から言わせてもらえば、そんなことが出来るようにしたのも、Winny作者をWinnyから離したために起こったこと・・・と言う人は少ない。
 フリーソフトであっても、通常作者は、ソフトに対する脆弱性があればそれを修正する暗黙の義務がある。
 特にネットワークソフトウェアは、ちょっとした脆弱性が、そのネットワーク全体を危険にさらしてしまうのはよくあることである。
 サーバやクライアントソフトウェアの脆弱性により、泣かされてきた管理者は多いだろう。
 そういう面では、現在のWinnyは更新が事実上ストップしている。
 たくさんの脆弱性が見つかっているが、それを修正出来る作者は、既にソフトを触ってはいない。
 Winnyは、まるで自己増殖するかのようにいたるところのサーバでダウンロードできる。
 一部の本には、付録CD-ROMの中に入って配布されている。
 言ってしまえば、国レベルで「危険なソフトウェア」といっているWinnyが、事実上野放しなのだ。
 それ自体が、判断として間違っていると思わないのか?
 そして何より、危険なソフトとするのならば、それを二次配布しているサイト運営者や本を編集している編集者も”著作権違反ほう助”になるのではないのか?
 それを野放しにしている国の責任は問われないのか?
 Winnyを危険なソフトウェアとしている以上、そこまで考えなければならないと私は思っている。

 もう一度言う。
 Winnyは本来コンピュータウイルスのように扱われるべきソフトウェアでは無いはずだ。
 その判断により、ソフトウェア業界のソフトすべてにおいて、その存在が揺るがされる事態であることを、認識せねばならない。